「素敵な人だな」と思った。
初めて会ったのはマッチングアプリ。
職業は“医師”、それだけで自分にはもったいないと思ったけど、
なぜか会話は弾んだし、LINEのやりとりも自然だった。
何度か会って、食事もして、
少しずつ距離が縮まっていく気がしていた。
…と思っていたのは、たぶん自分だけだった。
価値観もテンポも合っていた(と思ってた)
彼女は女医ということもあって、
仕事は多忙。
夜遅くまで勤務、時には休日出勤。
そんな生活の中で、
「休みの日に会おう」と言ってくれたのが嬉しかった。
食事の席では、医学の話もあったけど、
趣味の話や旅行の話でよく笑ってくれた。
なんとなく「いけるかも」と思ってた。
自分のほうが、気持ちが走ってた。
突然、LINEの返事がこなくなった
既読はつく。
でも、返信はない。
3日、5日…
ようやく来た返信には、
短くこう書かれていた。
ごめんね。やっぱりちょっと違うなって思った。
ステータスでは埋まらない「温度差」があった
医師と一般人。
職業とか年収とかより、
たぶん大事なのは“生きるリズム”。
夜勤明けのぼんやりしたLINEに、返事を急かした自分。
彼女が疲れていた日も、自分は会いたくて、会いたくて仕方なかった。
思えば、相手の生活の重さをちゃんと見れてなかった。
恋愛は対等。でも現実は、そう簡単じゃなかった。
「どうせ医者には勝てないよな」って、言い訳したい気持ちもあった。
でも、それ以上に思ったのは、
「自分が“合わなかった”だけなんだ」ってこと。
背伸びしすぎた恋は、
たいてい、気づかぬうちにバランスを崩す。
女医に振られて分かったこと。
結局、人って“肩書き”じゃない。
でも、“生活感”や“価値観”のズレは、
どんなに優しくても、超えられないことがある。
彼女は何も悪くなかった。
ちゃんと気持ちを伝えてくれたし、
会ってくれた時間もウソじゃなかったと思ってる。
だからこそ、
その優しさがちょっと痛かった。