婚活を始めて、最初に勇気を出して訪れたのが、
サンマリエの高崎支店だった。
駅から歩いて10分もかからないビルの一角。
少し緊張しながら扉を開けたあの日のことは、今でもよく覚えている。
対応してくれたのは、穏やかで、話しやすい女性スタッフさんだった。
年齢は私と近かったと思う。
初対面なのに、話を聞く姿勢が丁寧で、少し気持ちが軽くなったのを覚えている。
それから数ヶ月。
LINEでのやり取り、プロフィールの見直し、
お見合いの日程調整――
彼女はいつも迅速で、押しつけがましくなくて、
でも、さりげなく背中を押してくれた。
「この人と会ってみるのも、悪くないかもしれませんね」
そんな一言で、前に進めたこともある。
先日、ふと思い立って、高崎のオフィスに連絡を入れた。
久しぶりに、相談してみたかった。
でも、電話の向こうから返ってきたのは、
「現在、高崎オフィスは閉鎖しております」という案内だった。
え?
思わず固まってしまった。
そのあと、メールで状況を確認すると、
担当してくれていたあの女性スタッフは、大宮支店に異動になったらしい。
「もしよろしければ、今後はオンラインでの対応も可能です」
という丁寧な案内はあったけど、
正直、少しだけ寂しかった。
高崎での面談は、
自分にとって“日常”の中にあった非日常だった。
普段は行かないビル、慣れない服、
だけど、そこには“本気で話せる誰か”がいた。
それが、なくなってしまった。
婚活って、ただ人を紹介されるだけじゃない。
その過程で、誰に相談できるかがすごく大きい。
だから、「会いに行ける場所」があることは、思っていた以上に安心感につながっていたんだなと気づいた。
でも、大宮に異動したと聞いて、
少しホッとした部分もある。
また相談したくなったら、
大宮まで足を延ばせばいい。
それに、オンラインでも顔は見られる。
「担当さんが変わってしまうより、ずっとありがたい」
そう思った。
ただ、やっぱり感じたのは――
地方の婚活拠点って、やっぱり少しずつ減ってるんだな、ってこと。
高崎のような都市でも維持できないってことは、
婚活市場が都市集中型になってきているのかもしれない。
私の婚活も、少しずつフェーズが変わってきた。
活動の場所も、サポートの形も。
でも、あの高崎オフィスで過ごした時間は、
きっと、私の“最初の一歩”として、記憶に残る。
またいつか、
大宮のカフェで、担当さんと笑いながら会話できたらいいな。
そのときは、
「やっと、いい人に出会えました」って報告できるように。